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裏 Smile Part 2 "SMiLE" ①"Smile" 繋がりによる「お遊び」シリーズ。 今回は「世界で最も有名な未発表アルバム」と謂われている、ビーチ・ボーイズの"SMiLE"です。 冒頭の画像は当時予定されていたジャケット。刷り見本まで作られており、ファン待望の1枚でした。 時計の針を1966年に戻しましょう。 4月 ビーチ・ボーイズのリーダーであったブライアン・ウイルソンは"Pet Sounds"(Capitol)をほぼ「独力」で完成させます。 このアルバムは今日、ビートルズの"Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band" と並ぶ名盤・歴史的なアルバムと言う評価が定着、更に、"Sgt.Pepper"に影響を与えたアルバムと言う位置づけすら与えられています。 ところで、先の「独力」と言うのが曲者です。 二つの側面で説明しましょう。 一つは、当時史上最強のソングライティング・ティームと衆目の一致するレノン=マッカートニーの強力コンビにたった一人で対抗したと言うこと。ブライアン自身も彼らを最大のライヴァルと意識していました。 他にもゴフィン=キング、レイバー=ストーラー等ライヴァルはティーム編成が目立ちます。 (厳密には、このアルバムの歌詞の多くはトニー・アッシャーによるものですが、彼は謙遜を込めて、自らの役割を「ブライアンの趣旨に沿って言葉を選ぶ通訳者」と表現しています) もう一つは、このアルバムは実質ブライアンのソロ・アルバムであったこと。 ブライアンは65年以降、ツアーへ参加することなく、スタジオに一人籠るようになりました。必要に応じて優秀なスタジオ・ミュージシャンを雇って楽曲の骨格を作り上げ、ビーチ・ボーイズのメンバーは僅かにコーラスに参加しただけでした。 (先行シングルとしてリリースされた"Caroline , No"はブライアンのソロ名義でした) 5月リリースされたアルバムは大ヒット、早くも「世紀の名盤」と謳われた… と、言うことは全くなく、サーフィンもホットロッドもない、内省的でビーチ・ボーイズらしからぬサウンドと謂うことで、彼らのアルバムとしては売れ行きも芳しくなく、キャピトル・レコードも早々に見切りをつけ、旧作を集めたベスト・アルバムをリリースして、そちらをプッシュする有様でした。 渾身の自身作が受け容れられなかったブライアンの悲嘆は、いかばかりだったことでしょう。 それでも、彼は挑戦を続けます。 それは既に、"Pet Sounds" 録音中から始まっていました。 「犬は人間のヴァイブレイションを感じて吠える」と言う母オードリーの言葉にインスピレイションを受けたブライアンは、傑作"Good Vibrations"(Capitol)を作り上げます。 (タイトルをクリックすると40周年記念CDの紹介頁が開きます) 約7か月、通算90時間と5万ドルをかけて作成されました。 (ブライアンは自伝では、実質6週間、17セッション、レコードが完成するまで3か月以上、5万から7.5万ドルかけたと記しています) さて、ツアーからスタジオに戻ったビーチ・ボーイズの他のメンバーはこの曲の最終テイクを聴かされ、一様に当惑したようです。最後にブルース・ジョンストンが「世界的なヒットになるか、ビーチ・ボーイズが終わるか、どっちかだな」と言い放ったと言われています。 結果はブルースの予言の内、前者が的中し、10月の発売と同時にビーチ・ボーイズ最大のヒットとなりました。 コラージュ・ソング、サイケデリック・ソングの先駆け、またドラッグ・ソングと言う解釈もあります。 最初にラジオでこの曲を聴いた時は本当に驚きました。 斬新で奇抜、アヴァンギャルドだけど普遍的な美しさがある。しかしその美しさは、どこかへ移ろい行くかの様な儚さに彩られている、一方でキャッチーなメロディ、ワクワクするようなベースライン… 「計算し尽くされた構成美」とでも言うのでしょうか。 これだけの内容を僅か3分半に凝縮するなんて、… まさに、音楽絵巻であり、緻密に幾重にも重ねられる音のタペストリー、しかもそれは静物画ではなく、ドラマチックに展開する動画でした。 乱反射する浪間の煌めき、チューブを潜り抜けるサーファー、白い波しぶきが飛散したと思ったら、そこはもう黄昏の浜辺… (そんな風景は歌詞には描かれていないのですが…) この曲を「ポケット・シンフォニー」と呼んだのは、ビートルズとビーチ・ボーイズ2大バンドの広報担当を務めたデレク・テイラー(当時はビーチ・ボーイズに雇われており、ビートルズと彼らの橋渡しにも寄与)ですが、至言です。 …いずれにせよ、それまでのポップ・ソングの概念を遙かに超えるものでした。 さて、これでブライアン=ビーチ・ボーイズの新アルバムへの期待は嫌が上にも高まりました。 その頃、ブライアンは、次なるパートナーとして、新進気鋭のシンガーソングライターのヴァン・ダイク・パークスに作詞家として協力を求めました。 ブライアンは2000ドル相当のマリファナとハシシを、ヴァン・ダイクはデスピュートルを大量にスタジオに持ち込み、共同作業を開始しました。 当初は"Dumb Angel" と呼ばれていたそのアルバムはやがて"SMiLE"と名付けられ、 コンセプトは「神に捧げるティーンエイジ・シンフォニー。 全てが新しいフォームで宗教的で汚れのないスピリチュアルな音楽」とされました。 一方でブライアンの奇行が聴こえてきたのもこの頃からです。 特に消防士の服装をしたブライアンの写真には首をひねったものでした。 (今では、その「謎」も解けましたが。因みに、ブライアンは66年11月に、所謂"Fire"を録音しますが、その直後、スタジオ近隣のビル始めLAで火事が頻発していると聞いて、マイナスの(不吉な)ヴァイブレーションを放つ音楽を作ってしまったと自ら脅え「公表するには危険すぎる」と、封印を決め込みます。続きは③で。) 商魂逞しいキャピトル・レコードは、打って変って、ブライアンに新アルバムの制作を急がせ、また、ヒット曲である"Good Vibrations"をアルバムに収録するよう迫ります。 更に完成もしていないアルバムの前宣伝も打ち、冒頭のカヴァー・ワーク(ジャッケト・デザイン)も公表し、ブライアンに圧力をかけます。("Good Vibrations"の文字がやたらに踊っていますね) キャピトルは当初66年のクリスマス・アルバムとしてのリリースを望んでいましたが、間に合わず、「では、67年1月に」と、ラジオCM等まで流しますが、またもお流れ。 そうこうしている内にパークスがプロジェクトから降りてしまいます。 (ブライアンの自伝にも彼とマイク・ラヴとの口論が記るされています) ブライアンは、いくつもの曲の「断片」(彼は"feels"と呼んでいました。これらを組み合わせて楽曲を作りました。"Good Vibrations"でもこの手法を多用。クラシックのモチーフのように、異なる曲にも同じフレーズを登場させ、各楽曲の統一感を持たせることも可能となります。現代では所謂「サンプリング」技法により容易に代替できるようになったが…)を相手に孤軍奮闘していました。 4月 ポール・マッカートニーが"SMiLE"制作中のブライアンをスタジオに訪ねます。 デレク・テイラーに促され、ポールは新曲の"She's Leaving Home"をピアノの弾き語りで聞かせます。そして、"Sgt.Pepper"を夏にリリースすると告げ、"SMiLE"の完成を促します。 なお、この時、行われていた"Vegetable"の効果音作成にポールも協力したと言われています。(ポール自身は記憶にないと言っていますが) しかし、結局、ブライアンは"SMiLE"を完成させることは出来ず、制作は打ち切られます。 ノイローゼ、ドラッグ・アルコール説等が有力ですが、彼自身はメンバーとの確執を理由に挙げています。 5月 キャピトル・レコードは正式に"SMiLE"のリリース中止を発表。 かくて、"SMiLE"は「幻」となったのです。 6月 ビートルズ、"Sgt.Pepper"リリース。 時代はビートルズを中心に回っていきます。 (続く… →その②) 右画像は復帰後の91年に出版されたブライアンの自伝"Wouldn't It Be Nice"(Harper Collins)の邦訳。( ブライアン・ウイルソン自叙伝―ビーチボーイズ光と影 径書房 93年) アフィリエイトのお知らせ 上記のアルバム等に関心のある方は、アルバム名をクリックすれば、リンクしている販売業者のサイトで詳細を確認できます。購入の判断等はご自身の責任でお願いします。
by Eiji-Yokota
| 2010-01-12 00:40
| 口上
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