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Naomi's Choice 小柳有美の歌った歌
by Eiji-Yokota
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裏 Bridge Over troubled Water 「明日に架ける橋」

裏 Bridge Over troubled Water  「明日に架ける橋」_c0163399_4402358.jpg

先週、S&Gの「明日に架ける橋」を公開いたしました。
「あの時代」に思春期を過ごした方が、このブログの読者には多いと思われますが、さて、皆さん、この曲はいかがでしょうか?
懐かしさでいっぱい?

ところで、貴方は、先日のS&Gの来日公演には行かれましたか?
私はと言えば、迷った挙句、行きませんでした。
S&Gは、嫌いではないのですが、より複雑な思いを抱いています。
なによりも、今この曲にどう対してよいか分らないのです。
「そんなに難しく考えなくても…」
おっしゃる通りですが、時代を駆け抜けた歌には、それなりに背負ったものがあり、まだ、私の中でこの曲に向き合う準備が出来ていないのだと思います。
有美さんが、この曲を採り上げたのが、2月のライヴ。
その時に初めて、または久しぶりに取り上げた曲が数曲ありました。「正調博多節」なんて、翌週にはブログに掲載していました。その後のライヴで採り上げた「十字路」も先にブログに掲載する中、なかなか、この曲に着手出来なかったのは、このことと無縁ではないかも知れません。



*************

1.あの時代

それは、今から冷静且つ客観的に見れば、「ひどい時代」でした。
米国は泥沼化するヴェトナム戦争の為、かつての輝きを失つつありました。
スチューデント・パワーと言う言葉に示されるように、世界中で学生を中心に反戦デモが起こっていました。
デモ隊と公権力の衝突も日常茶飯事でした。
「造反有理」を主張し、毛語録を手にした紅衛兵が中国全土に現れ、当時の指導部を攻撃し始めました。
既に米ソの核開発競争は人類を何度も滅ぼす規模になっていました。
日本では、深刻さを増す公害の被害、出口の見えない「三里塚闘争」etc
「混乱」「混沌」「世上不安」と言うことになる筈なのですが、不思議なことに、若者の間には「愛と平和」のスローガンと音楽で世界が変えられるかも知れないと言う共同幻想が成立していました。
「ひどい時代」などとは全く感じませんでした。
新しい何かが生まれるかも知れない、我々でも何かを変えられるかも知れない。
そう、素直に思っていました。期待でワクワクしていましたーー
それは大きな「お祭り」だったのです。
やがて、米国はヴェトナムから撤退し、文化大革命は権力を奪取された毛沢東による権力闘争、事実上のクーデターだったことが分ってきます。安田講堂での攻防を最後にその勢いを失い、以後、学生運動は非合法活動、陰惨な内ゲバへと変質します。よど号事件、あさま山荘事件…
音楽の世界では、ウッドストックの高揚の後、オルタモントの悲劇(注)が起こります。
(注:69年12月6日 カリフォルニア州サンフランシスコ郊外リヴァモアのオルタモント・スピードウェイで行われたフリー・コンサート。メイン・アクターはローリング・ストーンズ。彼らの演奏の最中に会場を警備していたヘルズ・エジェル《バイカー集団、しばし非合法活動を行ったとされる》 が黒人青年を刺殺した事件。4か月前のウッドストックで掲げられた「愛と平和」がいかに理想主義的で脆く無力であったかを突きつけ、ロックの幻想の終焉の象徴的出来事と目されている。)
冷厳な現実の前に理想主義は夢想主義の衣を着せられ、退場せざるを得なくなります。
お祭りは終わったのです。
音楽からも社会運動からもパワーや熱狂と言うものが失われていくのが感じられました。
人々は次第に無力感・閉塞感に襲われます。

サッチモが"What A Wonderful World "と歌ったのは、ほんの少し前だと言うのに…
裏 Bridge Over troubled Water  「明日に架ける橋」_c0163399_1944236.jpg
そのような状況の下に、この曲が登場しました。
この曲を追うかのようにビートルズは"Let it be"と言う謎めいたフレーズを我々の前に示しました。
どちらもピアノのイントロに導かれ、次第にクライマックスになると言う構成でした。

また少し遅れて、ジェイムズ・テイラーが"You've Got A Friend"をヒットさせます。
そこでも、この曲と同じようなメッセージが歌われていました。
まさに、これらは時代が求めた歌だったのでしょう。
"Let it be"を除けば、どちらも、このブログで採り上げた曲です。
敢えて、こじつければ、やはりこのブログで採り上げた加藤登紀子さんの「時には昔の話を」も、こうした時代や状況をようやく客観視あるいは直視出来るようになった、あの時代を駆け抜けた一人の「先輩」が行った私的総括乃至レクイエムと捉えることが出来るかも知れません。
彼女がこの歌を作ったのは、あの時代から約20年後。今から約20年前。
個人的な話で恐縮ですが、私は未だにあの時代の自分をどう総括して良いのか分からずにいます。
いえ、私は当時も今も、たいしたことは何もしていません。
当時は、お祭りの屋台や出し物にワクワクしていただけ、それだけなのですが…
急に終わってしまった「お祭り」、取り上げられた「玩具」に代わるものを、以来ずっと探し続けていると言えば、言い過ぎでしょうか…

さて、私はこの曲を、名曲だ、好きな曲だと書くことは残念ながらが出来ません。それは全く個人的な事情によるものです。次に"Mary Don't You Weep"等この曲の周辺を綴る続編を予定していますので、今回は、私的「明日に架ける橋」雑記を、「裏」ヴァージョンとしてお送りします。

2.もう一つの「あの時代」  キーワードとしての「明日」とニューシネマ
今回の記事を書く準備作業として、この曲に関するいくつかのブログを拝見しました。
この曲の邦題については、概ね好意的な意見が見受けられました。
当時の私は「濁流あるいは逆巻く海に架ける橋だから、意味があるんだろう。明日に架ける、じゃ現実に目をつぶってることになる」なんて青い反発をしていました。
ま、レコード会社としては、やはり明るく前向きで売れそうな感じのタイトルにしたいのは当然のことです。
そして、「明日」はたしかに「あの時代」のキーワードでもありました。

「あの時代」---映画界も「ニューシネマ」と呼ばれる、それまでのハリウッドが得意とした夢物語や大仰な作品から反体制的な等身大の主人公に焦点を当てた画期的な作品群が現れ、人気を博しました。
(以下、邦題をクリックすると、DVD注文画面に。英語タイトルをクリックするとIMDbにアクセスし、詳細が確認出来ます)
裏 Bridge Over troubled Water  「明日に架ける橋」_c0163399_20242418.jpg
本文にある「卒業The Graduate(67)は勿論、そのダスティン・ホフマンがガラリとイメージチェンジした「真夜中のカーボーイ Midnight Cowboy (69)裏 Bridge Over troubled Water  「明日に架ける橋」_c0163399_20245391.jpg
そして、なんと言っても「イージー★ライダー Easy Rider (69)。


殺害シーン、オーラル・セックスやインポテンツ、ゲイ、大麻等これまでタブー視されてきたものを正面から取り上げたことも社会に衝撃を与えました。
そして決まって、絶望的な、あるいはほろ苦いエンディング。

これらに先駆けた作品として有名なものが「俺たちに明日はないBonnie and Clyde(67)  そして「明日に向って撃て!Butch Cassidy and Sundance Kid (69)
裏 Bridge Over troubled Water  「明日に架ける橋」_c0163399_2037251.jpg
裏 Bridge Over troubled Water  「明日に架ける橋」_c0163399_20364422.jpg














どちらも原タイトルは日本では馴染みの薄い二人の人間の名前の羅列であり、ボニーとクライドならまだしも、ブッチ・キャシデイとサンダンス・キッドでは、日本であそこまでヒットしたかは疑問ですね。
(全く余談ですが、両作品とも、アウトローを描き、女は退屈な日常生活にうんざりしていて、そしてラストシーンで主人公が取り囲まれて銃殺されるシーンまで類似しており、原タイトルの構造も邦題の「明日」の共通性もあり、未だに私は両作品をよく言い間違えてしまいます)
肯定的に捉える否かは別として、「明日」は、確かにこの時代のキーワードであり、意識的か無意識なネーミングかは判然としませんが、レコード会社の担当者さんの少なくとも潜在意識には、これらのバックグランドはあったのではないでしょうか。
そう言えば、当時「明日と言う字は明るい日と書くのね」なんて歌も流行っていました。
(「悲しみは駆け足でやってくる」69年  詞・歌唱:アン真理子)
そう言う観点では「ああ、この曲も『あの時代』の作品なんだな」との理解が早くなると言うものです。

3.ビートルズファンから見たS&G

どちらも素晴しいアーティストであることは自明なことですが、ファンの心理とは複雑でして。
60年代に、音楽ファンがビートルズ派とストーンズ派に分かれていたようなもので、当事者同士は仲良しなのにも関わらず、ファンはああだこうだと言い合うものです。

さて、米国のヒット・チャートの話です。
急にS&Gなんてのが出てきて、あれよあれよとランクを駆け上がり、なんとビートルズの新曲"We Can Work It Out「恋を抱きしめよう」"(この邦題もひどいなあ、と思っているのですが)を押さえて66年最初の週(1月1日)のトップに君臨したのが"Sound of Silence"でした!
勿論、ビートルズも負けてはいません。翌週から2週連続でトップに立ちます。しかし、なんと、その翌週、再びS&Gが首位に。いえいえ、次の週(1月29日)には再びビートルズが首位を奪還!
まさに、死闘ですね。
ビートルズファンにすれば、なんだ、この軟弱ファーク野郎、ただ綺麗なメロディなだけじゃないか、なんて馬鹿にしていました。
しかし、少し英語が出来るようになり、改めて歌詞を見ると、「うん、意外とこいつの歌詞は深いなあ」と認めざるを得ませんでした。日本で人気が爆発したのは、あきらかに「卒業」の音楽に使われてからでしたね。
チビとモジャモジャ頭の変な二人組の歌は以後気になって仕方なくなります。
軟弱なフォーク野郎かと思っていたら(当時から、Sound of Silence のオーヴァーダブのエピソードは有名でした)、意外とサウンドにも骨があり、フォークロックのジャンルに留まらない多様性を内在していました。
「僕は岩、僕は島なんだ」「僕は取り繕い続ける。花は雨に折れることはない」
都会で生きていく孤独や寂しさ、決意・葛藤がそこには歌われていました。
"Boxer"はある意味でそれらの集大成のような曲で、秀逸なメロディと併せ、今でも私のS&Gの一番のお気に入りです。(次が"America"かな)
その直後にリリースされたのが、「明日に架ける橋」でした。

なんじゃい、この歌詞は?あんたは何様のつもりだい?まるで偽善者じゃないか?
少し世を拗ねたところがあるポール・サイモンの歌詞にいつのまにか、シンパシーを感じていた私は瞬間的に反発しました。
今までのポールの作風から比べ、良く言えば、一皮むけた、悪く言えば、ええかっこしいの歌詞。
ワルぶることでかろうじてアイデンティティを維持していた当時の私は、こうもあっけらかんに「君を支えてあげよう」と言われて戸惑ったことをよく覚えています。

第一、ポール・サイモンの声が聞こえないじゃないか、ガーファンクルのソロ作品じゃん。
これって、S&Gと名乗って良いの?
でも、作者はポール。一体、どうなってるの?よくポールがOKしたなあ。
勿論、その頃、日本でも二人の確執は伝えられていました。
いずれにせよ、曲を作ったものが原則としてリード・ヴォーカルをとるビートルズの流儀に馴染んでいた私には違和感を禁じ得ませんでした。
いつの間にかポール・サイモン贔屓になっていた私が、併せてたまたまアート・ガーファンクルの声を好きでないことも、この曲に反発を覚えた理由の一つだったかも知れません。
しかし、何よりも、わざとらしいピアノ、大げさなストリングス、エンディングでの長ったらしく響き渡る弦の音のいやらしさ…。

一方で待望久しいビートルズの新作が出て、狂喜しました。
Let it be
よく意味が分からないタイトルも、それ故にファンにすれば、素晴しく感じられ、
「これこそ、傑作・名曲。S&Gと比べてもシンプルで、それでいて華があっていいねえ」と大感激。
一部でピアノの練習曲なんて悪口もありましたが、キーボードやったことのある人は皆一度は弾いたでしょ、あのイントロ。

さて、ビートルズファンとしては、チャートの方も気になります。再びトップ争いが起こったのです。
米国チャートでのお話。
先行リリース(1月26日)した「明日に架ける橋」がまずトップにつく、それは仕方ない。だけど、ビートルズがお出まし(3月11日)になったんだから、ファンとしては「お前、そこどけよ!」って感じです。
勿論、音楽の本質には全く関係ないことなんですけどね。
一応、整理すると、S&Gのトップは1970年2月28日~4月4日まで6週間。
ビートルズがトップだったのは、4月11日~18日の2週間。1か月近くS&Gに抑えつけられた形でした。残念無念。

4.二人の天才ポールの競作 ビートルズが真似をした?!

それにしても、まあ、よくも似た雰囲気の曲を二人のポールは大西洋を隔た東と西で書いたなあ、と思ったのは事実です。
まだ、ポール・サイモンがギターで作曲して、当初は自分で歌おうとしていたことも、ピアノのアレンジは後からつけられたことも日本には伝わっていませんでした。
今でも、ポール・マッカートニーがポール・サイモンを真似て書いたと言うことを見聞きすることがあります。おそらく、ジョンがインタヴューでそのような発言をしたことが拍車をかけたと思われますが、これは勿論、ジョン一流のジョークで、ポールに対するツラあての側面もあったかも知れません。
念の為、事実関係を確認しておきましょう。
裏 Bridge Over troubled Water  「明日に架ける橋」_c0163399_1971048.jpg
70年8月公開されたドキュメンタリー映画"LET IT BE"でも(現在、権利関係でヴィデオ化すらされていませんが)、また大量に流出した映画撮影時の音源(所謂、海賊盤)及びマーク・ルイソン等のリサーチ等から、69年1月の時点において"Let it be"は、ほぼリリース・ヴァージョンに近い形、つまりポール・マッカートニーがピアノの弾き語りで演奏していることが確認されています。ポール・サイモンに先行すること半年以上。


PS
その後、私にも色々ありまして…

20年以上勤めた大企業を辞める時、私の中で響いていたのは"Let it be" ではありませんでした。

Sail on silver girl
Sail on by
Your time has come to shine
All your dreams are on their way

でした。

私は、嫌いだった筈のポール・サイモンに背中を押され、第2の人生を踏み出したのです。




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by Eiji-Yokota | 2009-10-04 00:00 | 口上
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