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My One And Only Love
- 1947年 Guy B. Wood + 52年 Robert Mellin -
![]() スタンダート・ナンバーの定番中の定番の登場です。 「戦後に書かれた中で最も素晴らしく精巧に作り上げられたバラードの一つ」(Benny Green "Ella Swings Gently"1962)、「70年代以降、ジャズ歌手が歌わないことの方が珍しいと言えるほどのスタンダード曲」(村尾陸男「ジャズ詩大全」13)等のコメントもあります。 就中、John Coltrane ジョン・コレトレーンと Johnny Hartman ジョニー・ハートマンの共演(冒頭画像)は、今もジャズファンに根強い人気があり、この曲を語る時には欠かすことの出来ない演奏です。 なお、「ただひとつの恋」「ただ一度の恋」と言う邦題を見かけることがありますが、ここでの"Love"は恋人と解する他なく、私はこれらを誤訳と見做し採用しません。 こうして今やすっかり有名曲の地位を確立した本曲ですが、作者達も業界人とは言え、特別に有名な存在と言う訳でもありませんし、また、この曲の出自も少し複雑です。 今ではすっかり忘れ去れていますが、もともと、この曲は"Music from Beyond the Moon" と言うタイトルとして、この世に生まれ出ました。 では、その辺りの経緯を少し… 【 誕生の経緯 】 1.Music from Beyond the Moon 当初、この曲はGuy B.Wood ガイ・ウッド (1911 - 2001 音楽家、作曲家)が作曲。 Jack Lawrence ジャック・ローレンス(1912 - 2009 作詞家) が歌詞を書きました。 ガイ・ウッドは英国マンチェスター生、30年代に米国へ移住。最初はハリウッドのスタジオ・ミュージシャンとして活動、後にNYに出て、ダンス・バンドを率い、自らサックスを吹いていました。 他の作品に "Till Then"、 "My One and Only Love"、 "Shoo-Fly Pie and Apple Pan Dowdy" ジャック・ローレンスはユダヤ系アメリカ人、NY州ブルックリン生。 代表作に"Tenderly"(1946)があります。 ひょっとして、ポール・マッカートニーの最初の奥さんの曲を作った、あの人?! と、気付いた貴方。筋金入りのビートルズマニアですね! そう、当時彼の顧問弁護士で友人だったLee Eastman に請われて、当時5歳だった彼の娘の為に書いた曲が"Linda"(1946)でした。 二人によって作られた"The Music Beyond the Moon" は、典型的なラヴ・バラード仕立てで、タイトルがやはり例のサビの部分で歌われます。 ♫ 君が来て、僕の虚ろな瞳、キスを求める唇を、君の魅力で満たす 僕らが触れ合う時、月の彼方から音楽が聞こえる Vic Damone ヴィック・ダモーン (1928 - 米、歌手 イタリア系アメリカ人、NY州ブルクッリン生 ) が録音し、"I'll Always be in Love with You"とのカップリングで1947年10月4日リリース(Mercury 5072)。 ![]() 現在、" 他に、彼のベスト・アルバム(の一部)でも入手可能です。 因みに、Tony Martin トニー・マ-ティン (1912 ~ 米、歌手、俳優 カリフォルニア州のサンフランシスコ生まれ)も採り上げている様ですが (私は未聴)、残念ながら、どちらもヒットしませんでした。 また、ジャック・ローレンスの公式HPには上記2曲を含め、彼の代表作のエピソード等が記されていますが、この曲については一切触れられていません。 2.ロバート・メリンによる新しい歌詞 こうして、一度は世に出たものの、脚光を浴びることなく、やがては忘れ去られる運命にあった曲が我々の前に再び登場するのは、Robert Mellin ロバート・メリン (1902 - 1994 作詞作曲家、出版者)が1952年に新たな歌詞を書いてからです。 メリンは英国サリー州生まれ。 他にEddie Fisher の歌でヒットした"I'm Yous"(1952)、シナトラが録音した"Rain(Falling from the Sky)"(1954)が知らています。 60年代はTV音楽に活動の場を移します。 "The Adventures of Robinson Crusoe"(1964年米国、1965年米国で放映)等が有名。 メリンが歌詞を新たに書くこととなった経緯がどうも、よく分らないのですが、ご承知の方があれば、是非、ご教示ください。 メリンも英国人ですので、その繋がりでしょうか? では、そのメリンによる歌詞を見ていきましょう。 歌詞原文全部は→Seeklyrics ♫ 君へのこの想いが僕の心を歌わせる それはまるで春の翼に乗って来る 四月のそよ風のよう あでやかな光を放って君は現れる かけがえのない恋人よ 二人の影が長く伸びると 不思議な恋の魔法が辺り一面に広がる 静まりかえった夜更け 君をこの腕に抱き 交わす唇は温かく優しい かけがえのない恋人よ (以下略) 2連目の冒頭。 "The shadow fall and spread their mystic charms" 「メリン、お主出来るな」と思わずにはいられない(いかにも英語的な)表現。 一応、上の様に訳してみましたが、どんなもんでしょう。 夕方から夜への移行と、それに伴い二人の想いが妖しく変化していく様を表現していると私は解しています。 やはり、夜は恋の時間なのですね。 3.フランキー・ヴァージョン 早速、Frank Sinatra フランク・シナトラ が本曲を録音。 1953年5月2日 LAにて Nelson Riddle ネルソン・リドル 編曲、指揮のオーケストラと。 "I've Got The World On A String" とのカップリングでリリース(Capitol 2505)され、B面ながら28位とヒットします。 シナトラは、ゆったりとしたテンポで丁寧に歌っています。 このヴァージョンは後に編集アルバム"This is Sinatra"(Capitol 1956年) に収録され、同アルバムも、やはりヒットします。(先の"Rain"も収録)しかし、同アルバムはCD化されませんでした。 代わりに1960年にリリースされて、当時大ヒットしたアルバム"Nice 'N' Easy"のCD復刻の際に、この曲がボーナストラックとして収録されました。 このアルバムには本ブログで採り上げた"I've Got a Crash on You""The Nearness of You""Someone to Watch Over Me"(後2曲はCD化時追加)も収録されています。 【 カヴァー 】 以後、多くのカヴァー曲が生まれました。 先に紹介した2枚は定盤そのものですが、それ以外にも名演は沢山あります。 流石に、今回は私も絞込むのに迷いました。 私の好みを離れて、出来るだけ間口を広げて、且つ極力有名アルバム主体に紹介しましょう。 ピアノのArt Tatum アート・テイタムとテナー・サックスのBen Webser ベン・ウエブスターの56年9月の共演版。「二人の名前やジャズ史における位置付けはなんとなく分かっているけど、古くさそうだし、録音も悪いそうだし…」 と言う方にも比較的聴きやすく馴染みやすい演奏ではないでしょうか。 ウエブスターの野太いテナーは良く歌っていますし、続いてシングル・トーン主体のコロコロと球が転がる様なテイタムの特徴的ピアノ・スタイルも聴けます。 サックスがお好きな方にはColeman Hawkins "The High And Mighty Hawk"(Poll Winners 1958)、Sonny Rollins の"Standard"(RCA 1964) もお勧め。 さて、トレーンの登場です。 ![]() 63年3月、トレーンはジョニー・ハートマンとスタジオに入ります。 ハートマンはバリトン歌手でクルーナー(静かに囁くように、歌詞を噛んで 含めるように歌う歌い方)として知られていましたが、商業的な成功は手にしていませんでした。 トレーンとは50年代からの知り合いで、トレーンの希望でこの共演レコードが作成されました。 "Ballads""Duke Ellington & John Coltrane"(いずれも1962年)と並ぶトレーン異色3部作です。 マウスピースが不調で速い曲が演奏出来なかった為に別のアプローチをしたとトレーンは語っていますが、個人的には疑問で、彼一流の「照れ」ではないかと思っています。 本曲ではトレーンがまずモダンな感覚に溢れたソロをとり、その後、ハートマンがいぶし銀の様な渋いヴォーカルを聞かせ、まさにOne & Only な世界を作り上げます。 ピアノ・トリオを二つ。 64年10月のOscar Peterson オスカー・ピーターソンの"ピーターソンとしては比較的控え目ですが緩急自在でリラックスした演奏です。 ラストでバッハ(カンタータ140番)を引用したりして茶目っ気もたっぷり。 発表当時、録音の良さも話題になりました。 同じピアノ・トリオでも、こちらは才気煥発とした68年3月、若き日のChick Corea チック・コリアの演奏。" チックの事実上のデビュー・アルバム。CD化時に大量に追加されたボーナス・トラックの1曲でした。 チックはシャープで時にフリーぽい演奏をしています。 この後、チックはマイルス・ディヴィスのバンドに参加し、大きく飛躍することとなります。 マイルスからの独立後、フリー、Return To Forever ~エレクトリック時代を経て、アコースティック・バンドと活動の場を広げますが、アコースティック・バンドで、チックは再びこの曲を採り上げます。 トランペッターを トランペッター、歌手のChet Baker チェット・ベイカーは、そのイケ面ぶりも手伝い、一時はマイルスをも上回る人気を博しましたが、薬物が原因でキャリアは中断。栄光と挫折を体現した人物です。以前にも書きましたが、50年代半ば、全盛期の彼はトランペッターとしてはともかく、ヴォーカリストとしては、声量も乏しく中性的な声質で、私は生理的に受け付けられませんでした。 本作は、1987年前半に録音され、同名のドキュメンタリーのサントラ扱いされたものです。 晩年近い本作で聴かれる、辛うじて声を絞り出しているかのような歌唱は、執念と言うか、逆に鬼気迫るものを感じさせ、成程、これはこれでJazzそのものだな、と感動すら覚えました。 スタンダートにウィズ・ストリングス?あのヒノテルがなんと迎合的な…と一瞬思ったのですが、とんでもない、前言撤回、これは飛び切りのJazz でした。 1984年12月東京で名手達を迎えベーシックトラック録音、翌月NYでストリングス録音。 耳に心地良く万人向きですが、一貫してコルネットを演奏する日野はエモーショナルで豊かな表現力を余すところなく披歴します。 ハートマン、シナトラの男性歌手が出たので、女性ヴォーカルも。 エラ(62年4月、Ella Swings Gently with Nelson)、サラ(54年2月、各種編集盤)、カーメン(55年6月 By Secial Request ~ Here to Stay)の御三家は勿論、この曲を手掛けています。 しかし、この3人の圧倒的存在感の前に、うっかり見落としてしまいそうになりますが、他にも素晴らしい録音は山ほどあります。 ここではLorez Alexandria ロレツ・アレキサンドリアを紹介しましょう。ゴスペルの背景を持ちブルージーなナンバーを得意としたロレツの代表作。 Wynton Kelly (p) 以下が、しっかりバッキングしています。 この曲ではBud Shank のフルートに導かれ、Ray Crawford のギターがロレツに絡みます。 静謐の中、じっくりと歌い上げるロレツの素晴らしさ。 一応、御三家に敬意を表し、1曲。 ![]() 先のスタジオ・アルバムから16年後、ハリウッドのクラブ「ダンテ」に出演したカーメンの傑作ライヴから。 CD化に際し、多数のボーナス・トラックが追加され、これもその1曲。 あまり捏ね繰り回さず比較的ストレートに、且つスタジオ盤よりパワフルな歌唱を聴かせます。 この曲ではそれ程でもありませんが、アルバム全編に渡ってJoe Pass のギターも聞き物。 まだまだ紹介したいところですが、そろそろキャパ限界です。 ラストは、クラシック界から。 世界的チェリスト、ヨーヨー・マ。そのホリディ・ホーム・パーティ仕立てのアルバムがこれ。 ゲストもポップス・ジャズ界の大物揃い、それぞれ各曲を盛り上げます。 この曲で共演するのはテナー・サックスのJoshua Redman ジョシュア・レッドマン。 彼は自身のアルバム "Spirit of the Moment:Live at the Village Vanguard"(Warner 1995) でも、この曲を演奏しています。 PS (2012年1月19日) 久しぶりにビートルズ関係のニュースをチェックしてみて驚きました。 2月上旬、ポール・マッカートニーの新譜"Kisses on The Bottom"のデラックス仕様盤には、この曲が追加収録されているそうです。何と言う偶然。楽しみ! アフィリエイトのお知らせ 本文掲載のアルバム、書籍、ビデオ等に関心のある方は、タイトル名をクリックすれば、リンクしている販売業者のサイトで視聴含め詳細を確認できます。購入の判断等はご自身の責任でお願いします。 なお、本記事末尾に2~3行の文字(テキスト)広告が掲載されることがありますが、これはサイト運営会社exciteによるものであり、管理人は一切関知しておりません。
タイトル : バレンタインとビートルズ / St.Valentines..
The Muse / Naomi's Choice へ、ようこそ。 いよいよ、Paul McCartney ポール・マッカートニーの新作が全世界でリリースされます。 ポールにしては珍しいスタンダードのカヴァー集ですが、有り勝ちな「売れ線」を意識することなく、実に渋い選曲となっています。 リード・トラックとして"My Valentine"が音楽ダウンロードや一部のPVサイトで公開されています。 これはポールのオリジナル。 Eric Clapton がギターで参加。しっとりとしたバラード......more 味のあるかっこいいジャケットですね♪
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このヴァージョンは後に編集アルバム"This is Sinatra"(Capitol 1956年) に収録され、同アルバムも、やはりヒットします。(先の"Rain"も収録)
ピアノのArt Tatum アート・テイタムとテナー・サックスのBen Webser ベン・ウエブスターの56年9月の共演版。
64年10月のOscar Peterson オスカー・ピーターソンの"
同じピアノ・トリオでも、こちらは才気煥発とした68年3月、若き日のChick Corea チック・コリアの演奏。
トランペッター、歌手のChet Baker チェット・ベイカーは、そのイケ面ぶりも手伝い、一時はマイルスをも上回る人気を博しましたが、薬物が原因でキャリアは中断。栄光と挫折を体現した人物です。
スタンダートにウィズ・ストリングス?
ここではLorez Alexandria ロレツ・アレキサンドリアを紹介しましょう。
世界的チェリスト、ヨーヨー・マ。