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Naomi's Choice 小柳有美の歌った歌
by Eiji-Yokota
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ソンドハイム祭り pt2 「スウィーニー・トッド」Vol.1

ソンドハイム祭り pt2 「スウィーニー・トッド」Vol.1_c0163399_18434027.jpg

観てきました---「スウィーニー・トッド」"Sweeney Todd"
7月9日のソワレ、会場は神奈川芸術劇場(KAAT)。

堪能しました。
細かい欠点をあげればキリはありませんが、全体として十分楽しませてもらいましたし、
ある面では期待通り乃至期待以上のものでした。

前月の「太平洋序曲」はプロットに所縁の深い神奈川=KAATのみの公演でしたが、本作品はそうではありません。
フジテレビ、ホリプロが企画制作し、5月14日の青山劇場を皮切りに同劇場他全国を巡業し、KAATでの公演は2日だけ。(7月10日が全公演の千秋楽)
ところで、何故、私は観劇の場所にKAATを選んだのか?
理由はシンプル---
私の住まいと仕事場に近いこと。そして、青山劇場より4100円安い(S席比較)から。
残念ながら、複数回観劇する程の時間とカネの余裕には恵まれていないもので…

さて、最初から脱線してしまいましたが「ソンドハイム祭り」のpart2はこの作品です。
多作家のソンドハイムの数ある作品の中でも人気、評価とも高い1作です。
しかし、その題材やテーマは重く暗いもので、ソンドハイム自ら「ドラマ性の強い、残酷なダーク・オプレッタ」と呼んでいます。
勿論、コミカルな部分も織り交ぜ、彼の特徴でもある不協和音を多用した複雑で難解な歌曲、早口で捲し立てる歌曲等がオーケストラの重厚なサウンドでオペラチックに綴られていきます。



【 スウィーニー・トッドの伝説 】
ソンドハイム祭り pt2 「スウィーニー・トッド」Vol.1_c0163399_16163368.jpg
ここで少しスウィーニー・トッドなる人物について触れておきましょう。
副題の「フリート街の悪魔の理髪師」"The Demon Barber of Fleet Street"が示す通り、ロンドン、フリート街186番で理髪店を営むトッドの物語は、19世紀以来数々の怪奇小説、演劇、映画に採り上げられ来ました。伝説の殺人者として。
左画像はオリジナルは1847年のThomas Preskett Prest (1810?-1859)"The String of Paerls"(Penguin 2010)

ソンドハイム祭り pt2 「スウィーニー・トッド」Vol.1_c0163399_14231922.jpg
トッドの伝説には、様々なヴァージョンがありますが、基本的には次のようなものです。
髭剃りの剃刀がトッドの凶器。お客の首を掻き切ったら、そのまま椅子は滑り台と化し床が開いて、あるいは椅子が反転して、死体は地下へ急降下。(足から落ちるもの、頭から落ちるもの等色々あり…)
地下では相棒(愛人、友人等色々あり)のラヴェット夫人 Mrs.Lovett(別名もあり)が死体を挽き肉にしてミートパイに混ぜて証拠の隠滅を図ります。そのパイの味が大好評で彼女の店は繁盛すると言うものです。
(パリを舞台にしたヴァージョンもあるようです)
右は1936年制作の映画"The Demon Barber of Fleet Street"。
動画サイトのURLは
http://www.youtube.com/watch?v=e9j_yvsvVag&feature=watch-now-button&wide=1

このグロテスクな素材をソンドハイムはいかに料理したのでしょうか?

【 制作の背景と初演 】
1973年、リヴァプール出身の劇作家クリストファー・ボンド Christpher Godfrey Bond (1945 - )による"Sweeney Todd - The Demon Barber of Fleet Street"は、私の知る限り、初めてこの連続殺人鬼を権力者に妻子を奪われた主人公として採り上げ、物語を、その復讐劇として再構築しました。
これを見たソンドハイムは、直ちに、そのミュージカル化を思い立ちます。
ソンドハイム祭り pt2 「スウィーニー・トッド」Vol.1_c0163399_23402486.jpg

1979年3月1日 ユリス劇場(現在のガーシュウイン劇場)で初演。公演回数は557回。
脚本:ヒュー・ウィーラー Hugh Wheeler 
演出:ハロルド・プリンス Harold Prince
初演のデータ詳細→IBDB
オリジナル・ブロウドウェイ・キャスト盤"Sweeney Todd"

【 あらすじ 】
楽曲(括弧内は今回の邦題)を主体にオリジナル版の「あらすじ」を紹介します。
少し長めでネタバレがありますので、お嫌な方は、ここはスキップください。

開演前、まだ照明が落ちる前から場内にはオルガンの調べが流れています。

[第1幕]
闇を劈き警笛が鳴り響きます。(以後、劇中で何回も鳴り響く)
ロンドンの市民達が口々にトッドの冷血ぶりを歌う"The Ballad of Sweeney Todd"「スウィーニー・トッドのバラード」。合唱が盛り上がったところでトッド自身も参加。
本作のテーマ曲であり、以後、この曲は繰り返し劇中で奏でられ、運命に操られる登場人物が、また一歩破滅に近づいていくことを示唆します。

ロンドンの港
ボートから降りてきたのは希望に溢れる若い水夫のアンソニー・ホープと、いかにも訳あり風の中年男のトッド。
二人による二重唱"No Place Like London"「ロンドンが一番」
乞食女が二人に纏わりつき歌います。気がふれているようです。乞食女を遠ざけ、トッドは自分と妻の過去を匂わせる謎めいた歌"The Barber and His Wife"「黒い穴&ビューティフル」を歌い、親交を求めるアンソニーと関わりを避けようとしつつも、自分はフリート街にいると告げます。

フリート街ラヴェット夫人のパイ屋。
トッドが訪れます。夫人は久しぶりの客にパイを勧めながら自虐的に"The Worst Pies in London"「ロンドン一まずいパイ」を歌います。
「カネがなく、2階が空いているなら貸せば良いではないか」と持ちかけるトッド。
ラヴェットは、かつてそこに住んでいた理髪師夫婦の悲劇"Poor Thing"「可哀想に」を歌います。
始めは冷静に聴いていたトッドも、次第に耐え切れなくなり、思わず叫び声を上げます。
ラヴェットは、彼が15年前、2階で理髪店を営んでいたベンジャミン・バーカー本人だと気付きます。

バーカーは腕のいい理髪師でしたが妻ルーシーに横恋慕したターピン判事により、無実の罪でオーストラリア流罪に処されたのです。終身刑にもかかわらず密かに戻ってきたトッド。
ラヴェットは、残された妻はターピン判事とその配下の小役人ビードル・バムフォードに騙されて陵辱され、そのショックでヒ素を呑んで自殺、1人娘のジョアンナも判事の家に囲われて暮らす身とトッドに告げます。
話を聞いて復讐の炎を燃やすトッドに、ラヴェットは大事に保管していた彼の道具箱を差出します。中には銀製の剃刀セット。

「友」と再会したトッドが歌う"My Friends"「マイ・フレンズ」、ラヴェットもトッドへの想いを歌います。
トッドは剃刀に「友」と呼びかけ、復讐の武器を手に入れたことを喜び、ラヴェットはトッドに「友」と呼びかける。
それは最後まで埋まらない二人の間の微妙な温度差。
市民達によるテーマ曲。

ターピンの屋敷。
ジョアンナは16歳。彼女は2階の窓から小鳥売りに声をかけています。籠の鳥に向かって、飛べないのならせめて歌い方を教えて、と語りかける"Green Finch and Linnet Bird"「小鳥達よ」。
そこへやってきたアンソニー、ジョアンナに一目惚れ。
しかし、なかなか彼女は振り向いてくれません。短い二重唱"Ah ,Miss"「僕をみて、ジョアンナ」。
ようやく2人の視線が合ったところで折悪しく女乞食の邪魔が入り、ジョアンナは部屋の中に隠れてしまいます。

アンソニーは女乞食から、ここがターピン判事の家で娘の名がジョアンナであることを聞き出します。
彼女はジョアンナに手を出さない方がいいと忠告。アンソニーは聞く耳持たず、小鳥売りからジョアンナへのプレゼントにと小鳥を1羽買い求めます。
再び窓に現れたジョアンナにアンソニーは鳥籠を差出します。そして、自分の思いの丈を"Johanna"「ジョアンナ」に込めて歌います。このミュージカルの中でも最も優美な曲です。
そこにターピンとビードルが登場。ターピンはアンソニーに2度と近づかぬよう警告、ビードルはアンソニーが買った小鳥を取り上げ、無残にも握りつぶし、次はお前の番だと威嚇します。
ジョアンナはターピンに促され家の中へ。1人残ったアンソニーはより情熱を込めて歌います。

ロンドン市内の市場。
トッドとラヴェット夫人が、毎週現れる自称「ナポリ王御用達」の理髪師兼抜歯屋ピレッリを待っている。彼を打ち負かしてトッドの店に客を呼び込もうという作戦。
やがてピレッリの手下で少し頭の回転が鈍いトバイアス(トビー)・ラグが出てきて増毛剤「奇跡の万能薬」を売込む。"Pirelli's Miracle Elixir"「ピレッリの妙薬」
「万能薬」の匂いをかいだトッドは、これが小便にインクを混ぜたものと見抜き、彼の言葉は瞬く間に客たちの間に広がり、「金返せ!」「ピレッリを出せ!」と大騒ぎに。

ようやく登場したピレッリは「小便とは無礼な、そんなことを言っているのは誰だ」と高圧的。
トッドは彼に髭剃りと抜歯の勝負を挑みます。
どちらが速く且つ痛みを伴わずに処方できるか?
(注:当時の理髪屋は歯科医や外科医も兼ねていました。
今も理髪店の看板代わりに設置されている赤、青、白の「ねじり棒」が、動脈、静脈、包帯を表していることに、その痕跡が認められます)
トッドは銀の剃刀セットを、ピレッリは5ポンドをそれぞれ賭けます。たまたま居合わせたビードルが判定役に。
ピレッリはあれこれ能書きをたれながらシャボンをつけ髭を剃ります。"The Contest"「コンテスト」
この間、トッドは余裕で剃刀を研いでいます。と一瞬にしてトッドは客の髭をきれいに剃り落とし、人々を驚かせます。抜歯も同じパターンでトッドが連勝。
ピレッリはやむなく金を払い、トビーとほうほうの体で逃げ出します。
ビードルはトッドの腕前に感心。しかしどこかで見たような顔だが?と。
すかさずラヴェット夫人が自分の親戚だとフォロー。納得したビードルは近いうちに彼の店を訪れると約束。
警笛がなり、市民達のテーマ曲。

ターピン判事の家。
ターピンは女らしくなったジョアンへの想い、アンソニーの登場等で心を乱した自らを鞭打ちます。"Johanna"「判事のジョアンナ」。しかし、誘惑には勝てず(ただのマゾヒストだったのかも…)、ジョアンナの部屋に入るなり、彼女に求婚。(このシーンは割愛されることもあります)

ラヴェット夫人のパイ屋。
ラヴェットは纏わりつく乞食女を追い払い、2階の理髪店へ。ビードルもターピンもやって来ないことに苛立つトッドをなだめ、忍耐を説く。"Wait"「待ちましょう」
そこへアンソニーがやってきて、ジョアンナに出会ったことを興奮しながらまくし立てる。彼は大胆にも今夜ターピンが留守の間を狙ってジョアンナをさらい出すと言う。

アンソニーが走り去ったのと入れ違いにピレッリがトビーを伴ってやってくる。
夫人がパイ屋でトビーの相手をしている間、2階の床屋ではピレッリがトッドの正体を見抜き口止め料を要求。ピレッリの本名はダニー(ダニエル)、かつて2週間程トッドの弟子だったことがあったのです。トッドは彼の首を絞め、衣装入れに押し込みます。そうとは知らないトビーはピレッリを捜しにきますが、トッドはピレッリはもう出ていったと言い張り、トビーを階下に戻し、夫人がジンを飲ませゴマかします。
2階ではトッドがピレッリの首を切り掻き切ります。最初の殺人。
市民達によるテーマ曲。

路上。
裁判所での仕事を終えたターピンはビードルとともに家路に。道すがら、ターピンはジョアンナへ求婚したことを告げますが、彼女が喜ばないのが不満です
ターピンの家、ジョアンナの部屋。
アンソニーはジョアンナの部屋に入り込み、彼女と再会し、駆け落ちの相談。若い2人の燃える思いの二重唱"Kiss Me"「キッス・ミー」
路上。
ビードルはターピンに向かい「あの年頃の女性は敏感です、身だしなみを整えた方がいい」と"Ladies in Their Sensitivities"「レディは繊細なもの」を歌います。
自宅の直ぐ近くまで帰っていたはターピンは理髪屋を訪ねることにします。
ジョアンナの部屋。
アンソニーとジョアンナの二重唱。
舞台の2箇所で展開されていたターピン&ビードルの二重唱とジョアンナ&アンソニーの二重唱がここで一体に(Quartet)。

理髪店。
すっかり出来きあがったトビーを置いて夫人は2階に上がります。トッドがピレッリを殺したことを知り、最初はトビーを責めますが、ピレッリの正体を知るや、そうとなれば話は別と度胸の良さを見せます。
そこへターピンがお客としてやってきます。はやる気持を抑えつつ、トッドはバカ丁寧にターピンに椅子を進め、要望を訊く。ターピンはジョアンナとの結婚話を始める。怒りを抑えつつ話を合わせるトッド。首を掻き切るチャンスを伺います。"Pretty Women"「プリティ・ウーマン」では、二人の息詰まる掛け合いが聴けます。
あと一息というところで、アンソニーが飛び込んできて、2人の前でジョアンナ略奪計画をまくしたてます。
同じ女に恋した若者と老人の鉢合わせ!
ターピンは激怒し、店を飛び出し、トッドも激怒し、アンソニーを追い出す。
パイ屋の1階。
復讐の最大のチャンスを逃したトッド。もう終わりだ!復讐がかなわないどころか、娘にももう会えない!夫人がなだめるのにも耳を貸さないトッドの絶望のソロ"Epiphany"「激情」。
女性はいつも現実的で合理的。ラヴェットは「復讐も大事だが、その前にピレッリの死体の処理が先。これを人肉パイにして売り出せば一儲けできる」と持ちかけます。
あまりに大胆なアイデアに最初は戸惑うトッドも次第に乗ってきます。
2人は肉切り包丁と麺棒を振り回しながら、邪悪な喜びに浸ります。
この瞬間、遂に二人は越えてはならない一線を越えるのですが、各職業によって肉の味や舌触りを想像し合うやり取りが延々と繰り広げられる"A Little Priest"「牧師はいかが」の歌のなんと陽気なこと!

[第2幕]
ラヴェット夫人のパイ屋
夫人の作戦は大当たり。「人肉パイ」(客は誰も知らないが)は大受けで、今日もパイ屋は客でいっぱい。トビー(トバイアス)はウェイターとして走り回っています。夫人の衣裳もすっかりおしゃれに。
トビー、夫人と客たち(合唱)の賑やかなやり取り"God, That's Good!"「世界一のパイ」の中、2階にいるトッドがいらつきながら大車輪の活躍を見せる夫人を呼びつける。理髪用の椅子が届けられ、それこそ彼が待っていたものでした。トッドはラヴェットを再び呼び止め、椅子の「試運転」。夫人は地下の調理室へ。トッドが椅子に本を載せ、床を3度叩いて椅子に付属しているレバーを引くと椅子はまっすぐに伸び、足元の床が開き、本は床下のシュートに落ちていく。夫人は本がシュートの出口から出てくるのを確認して壁を3度叩く。成功!店では2人の様子を知る由もない客達がトビーにパイのおかわりを要求し、賑やかなアンサンブルが続きます。
そして、また一人の客がトッドの理髪店へ。
一度は「売切」とした看板を反転させ料金表に戻すラヴェット…

夜明けのロンドンの街。
アンソニーがジョアンナを探して彷徨っています。"Johanna"
一方、トッドの店ではトッドはジョアンナへの別れを歌いながら、やって来る客の喉を掻き切ってはシュートへ落としています。アンソニーとの静かな二重唱をバックに、何事もないかのように連続殺人が繰り広げられます。
店の周りを女乞食がうろつき、パイ屋から出る煙の匂いがおかしいと騒ぐ"City on Fire"「街が燃える」。
無慈悲に何人かの客の命を奪った後、家族連れの客がやってきます。さすがにトッドは普通に髭をそり、代金を受け取ります。
フォッグ博士の精神病院に入れられたジョアンナの声も重なります。

アンソニーもジョアンナの居場所を突き止め、侵入を試みますが追い出されてしまいます。通りがかったビードルに彼女の救済を求めますが、彼女を病院に入れたのは自分であり、これ以上、邪魔をすれば逮捕すると警笛を吹いて警官を呼びます。逃げ出すアンソニー。

パイ屋の中。
ラヴェット夫人は今週の売上を勘定し満足げ。家の中には中古だがオルガンも備え付けられています。
しかし傍らに座るトッドはターピンへの復讐しか考えていない。夫人は彼に近づき、そんなこと忘れて、もう少しお金がたまったら海のそばで一緒に暮らしましょうよ、と夢を語り、誘いかける"By the Sea"「海辺で」。
しかし彼は上の空。

そこへアンソニーが駆け込み、ジョアンナの居場所を知らせる。彼女が精神病院にいると知ったトッドは喜び、アンソニーに一計を授けます。ロンドンのかつらは精神病患者の髪の毛でできている。つまり、かつら屋の振りをしてジョアンナを連れ出せばいい。アンソニーにトッドがかつら屋の手ほどきをする二重唱"Wigmaker Sequence"「かつら屋の歌」に、テーマ曲を歌う五重唱が重なります。トッドはアンソニーに、ジョアンナを救い出したら必ず店へ連れてくるよう言って彼を送り出します。

そして、トッドはターピン宛に手紙を認めます。
「アンソニーがジョアンナを精神病院からトッドの店に連れ出して来る、娘に会いたければ急いで来られたし」と文面が五重唱によって歌われます。"The Letter"「手紙」
トッドは自ら手紙をターピンの家に届けます。

パイ屋の中。
今日の仕事を終えたトビーが入ってくると、ラヴェット夫人がマフラーを編んでいます。トビーはてっきり自分の為と思い込み、そう告げる。そして夫人への思いを吐露するとともに、トッドへの敵意をむき出しにする"Not While I'm Around"「僕がついている」。
彼女はトビーをなだめるべく、彼を地下の調理室へ連れて行き、オーブンを見せ、(人)肉挽き機の使い方を教えます。
「ゆっくりと3回挽くのがコツ」
夫人はトビーを調理室に残したまま、トッドを探しに1階へ上がると、ビードルがオルガンを弾いて歌っています。"Parlor Songs"「パーラー・ソング」
近頃パイ屋から出る煙が悪臭を放つとの苦情が寄せられているので、調理室を検査に来た、と。夫人は慌てて、今調理室は鍵がかかっていて、鍵はトッドが持っており、彼は数時間は帰って来ないからとビードルを追い払おうとします。
そこへトッドが戻って来ます。夫人は、ビードルにトッドがポマードで整髪してくれるので、先に床屋へ上がるよう促します。

地下室。
トビーは肉挽き機のそばでパイを食べている。中に髪の毛や爪が入っているので吐き出したところに、ビードルの死体がシュートから飛び出してくる。警笛。仰天した彼は夫人にここから出すよう叫び出します。
パイ屋の1階。
一仕事終えたトッドが夫人の元に戻ってくると、夫人は「トビーがパイの仕掛けを知ってしまった。口止めするしかない」とトッドを地下室へ引っ張っていきます。"Searching"「捜索」
警笛がなり、合唱によるテーマ曲。

フォッグ博士の精神病院。
かつら屋に紛したアンソニーがやって来ます。患者の入れられた檻の中からジョアンナを見つけたフォッグが彼女の髪を切ろうと引っ張り出すと、アンソニーはピストルを彼に突きつけます。鋏をかざして2人を捕まえようとするフォッグに向かい、気後れするアンソニーの代わりにジョアンナが銃を放ちます。
逃げ出す2人、このどさくさに乗じて他の患者たちも病院を脱走する。患者たちは「街が火事だ!」「この世の終わりだ!」とあちこちで騒ぎ立て、追いかける警官の警笛が鳴り響く。"City on Fire"
その間に2人は再会の抱擁。

パイ屋の地下室。
ラヴェット夫人とトッドがトビーに出てくるよう呼びかけるが、反応がない。外では脱走患者たちがなおも騒ぎ、女乞食はビードルがパイ屋で消えたのに怯えて叫んでいる。
トッドの理髪店。
アンソニーとジョアンナがトッドの店に着くが誰もいない。2人とも水夫の格好。アンソニーはトッドを探しに1人で出て行くが、その前に"No Place Like London"のメロディに乗って愛の二重唱。
1人残ったジョアンナ、警笛が鳴り、階下でビードルを探す女乞食の声が聞こえる。
衣装入れに隠れるジョアンナ。
上がってきた女乞食は、辺りを見回し、何かに気付いた様子。子守歌を口ずさみます。
"Beggar Woman's Lullaby"
そこへトッドが現れる。彼は女乞食を追い出そうとするが、彼女は彼の顔をじっと見つめ、「あたしの事を知らないのかい?」と尋ねる。そこへターピンが階下にやって来る。時間がない。トッドは彼女の喉を掻き切ってシュートへ落としてしまいます。

ジョアンナに会いたくてウズウズするターピン。トッドは言葉巧みにターピンの機嫌を取り、椅子に座らせる。"Pretty Woman"の二重唱が再現され、トッドは自らの正体を明かす。凍りつくターピン。警笛。さすがのターピンも今度は逃げる間もなくトッドの刃にかかってシュートに落ちる。
"The Judge's Return"「判事の再来」
ついに復讐は成った。たっぷり働いた友、剃刀をねぎらうトッド。
「そうだ、トビーが残っている」
階段を降りかけて、剃刀を取りに2階へ戻るトッド。
衣装入れから出てきたジョアンナと鉢合わせし、問い詰めます。
怯えながらとっさに「顔を剃ってもらいたくて…」と言うジョアンナを座らせたところで警笛が鳴り、周囲が騒がしくなります。その隙に逃げ出すジョアンナ。
地下の調理室。
死に切っていないターピンがシュートの出口でラヴェット夫人のスカートをしぶとくつかんでいる。夫人は必死に抵抗し、やっとの思いで逃れる。ターピンもようやく息絶える。
(KAAT版では、下へ降りてきたトッドが止めを刺します)
夫人は女乞食の死体を見て驚き、あわててオーブンへ運ぼうとする。
そこへトッドが現れ、夫人に代わって運ぼうとするが、彼女はなぜか拒む。
オーブンの扉が開き、中の炎が女乞食の顔を照らします。その顔を見た瞬間、トッドはその女が最愛のルーシーであることに気付きます。
トッドはラヴェットに詰め寄ります。「嘘をついていたのか?」「嘘をついたのは、あなたを愛しているから」
夫人はなおもトッドの愛を求めます。振り返ったトッドは「過去は忘れよう」と夫人を抱き、ワルツを踊り始める。"By the Sea"を再び歌い始める夫人。ワルツが最高潮になった瞬間、トッドは夫人をオーブンに投げ込む。悲鳴を上げる夫人。しっかりオーブンの蓋を押えるトッド。
オーブンの中が静かになるとトッドはルーシーの死体を抱き上げ、"The Barber and His Wife"を歌う。
そこへトビーが現れ、床に落ちた剃刀を拾い上げる。彼はトッドに近づき、喉を掻き切る。トッドはルーシーの傍らに倒れる。"The Final Sequence"「最終シーン」
警笛が鳴る。
アンソニー、ジョアンナ、警官達が入ってくる。地下室は死体の山。
トビーは一人肉挽き機を回している。夫人に教えられたとおりに。
「ゆっくりと、3回挽くのがコツなんだ」

警笛が鳴り、全員によるテーマ曲、最期にトッドとラヴェット夫人も加わる。
全員が退場し、舞台の上は2人きりとなるが、互いに違う方向に退場して幕。

【 Vol.2  】

残念ながら、容量の関係で、今回はあらすじだけで終わってしまいました。
この作品がどのように世界中に広がっていったか、そして今回の再演版等については、
Vol.2で→「ここをクリック


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by Eiji-yokota | 2011-07-10 17:14 | 口上
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